リアルな恋は落ち着かない
(・・・どうしよう、今日もやっぱりかっこいい・・・)


咄嗟にそんなことを思い、思わず頬を熱くする。

ももさんは、そんな私を一ミリたりとも見逃さなかった。

「お。ゆりりん。今、『五十嵐くんかっこいい』って思っただろ」

「!?お、思ってないよ!!」

「嘘つくでない。五十嵐はいつ誰が見たってかっこいいぞ」


(う・・・)


ぐうの音も出なかった。

思わずついてしまった嘘も、すぐにばれてしまうのだ。

ももさんが「ははは」と笑う。

「大丈夫だ、負けず劣らずゆりりんだってかわいいぞ。なあ、五十嵐」

話題を振られた五十嵐くんは、少し笑って「ああ」と頷く。

「そうですね。いつも通り」

「!」


(いつも通り・・・)


いつも、かわいいって思ってくれているのだろうか。

嬉しさと恥ずかしさが相まって、ますます頬が火照ってしまう。

宇佐美くんは、そんな私と五十嵐くんを交互に見ると、「いやあ」と言って額をかいた。

「なんか照れるなあ」

「む。なんでうさが照れるんだ」

「いや、ほら、柊吾がなんかデレっとしちゃって。橘内さんも初々しいし。なんか見てて恥ずかしい」

宇佐美くんの言葉に、ももさんは「確かに」と冷静な顔で同意する。

「まあ致し方ないだろう。付き合い始めたばかりだし、きっとどうにもこうにもラブラブなのだ。昨日まではずっと一緒にいたんだろうし」

ももさんが「フフフ」と笑う。

私はちょっと複雑な気持ちで、「ううん」と首を横に振る。

「昨日は会ってないよ。五十嵐くんは仕事もあったし・・・」

その答えに、ももさんは「ん?」と一瞬考える。
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