オトナの恋は強引です!

Dragon & Tiger

仕事が終わって、コムギに誘われ、
diningbar Dragon & Tiger
(ダイニングバー ドラゴン・アンド・タイガー)に行く。

ここはドラゴンとコムギの7歳年上のお兄ちゃんの大河(タイガ)さんが共同経営している店だ。
(ドラゴンはこの辺りの地主さんの次男。
家業は継がずに家賃収入や店舗の収入でのんびり暮らしてるらしい。
この店は趣味らしく、採算は考えていないと言っていた。)

通称Dragonは私が住んでいる江ノ島から、4駅離れた稲村ヶ崎の商店街のはずれにある。
(商店街の反対側にはコムギの実家の「あおい小児科」がある。
コムギは実家の目の前のマンションに住んでいる。)
タイガさんは元々イタリアンのシェフだったところをドラゴンが引き抜いて、
共同経営者にしているらしい。
美味しいご飯と、お酒が飲める、良いお店だ。
週末は繁盛していて、予約がないと入れない時があるみたいだけど、
コムギと私はまあ、入れてもらえる。

今日は平日だし、空いているから奥のテーブルに座る。
ここはコムギの好きな席だ。電話しておけば、リザーブしておいてくれる。
私が1人で来る時はドラゴンの前のカウンターに座って、
あの人が働いたり、サボったりするところをそっと見る。
声はあまりかけず、ドラゴンが気が向いたときに話しかけてくるのを
ドキドキしながら待つ。
ドラゴンは10歳年の離れた私を妹かなんかと思っているようで、
美味しいご飯や、軽いお酒を飲ませてくれ、
酔っ払うと、タクシーに乗せてくれる。

ごくごくまれに一緒のタクシーに乗って帰る事があるけれど、
(一緒のマンションだし。)
もちろん何にもない。
頭を撫でられて、部屋に送られるだけだ。
ペットかっつーの、

抱かれてしまえ。
とすごく酔って、かかえられて帰った事もあったけど、
ドラゴンは私をベットで抱いたりしない。

眼中にないのだ。

けっこう、カウンターに座るオンナを口説いているくせに。
そして、持ち帰ったりしてるくせに。
私が10歳も年下だからかって思ったけど、
明らかに私より年下のオンナを連れている時もあるのにだ。

誰でもいいんなら、私を抱いてもいいんじゃないかって思うんだけど、
そういうわけでもないんだな。これが。
どういう基準なんだろう。
4年も知り合いなのに。
アドレスも電話番号も知らない。

私は好みではないのだろう。って
やっと自分の中で結論が出そうだ。



< 5 / 80 >

この作品をシェア

pagetop