空を祈る紙ヒコーキ
プロローグ


 大切なものは作ろうと思ってできるんじゃなく、気がついたらできている。

 俺にとってアイツがそういう存在だった。

 同い年の幼なじみで親同士も仲が良い親友。中学入学と同時にアイツは親の都合で他県に引っ越したけど、それでも友達付き合いは続いた。LINEや電話はしょっちゅうしていたし、ツイッターでもつながっていてお互いの近況を面白おかしくつぶやき合ったりしてた。

 けれど、じょじょにアイツのツイッターの更新頻度は鈍くなり、中二に進級する頃には全くつぶやかなくなった。

 それでも電話はしょっちゅうしていてアイツの元気な声を聞けていたのでそこまで心配はしなかった。夏休みとかの長期休暇にはアイツの住んでる街に会いに行ったし、アイツも俺んちに何泊かしていってくれた。

 うちは父さんと二人暮らしだったけど父さんは仕事で家を空けていることが多く寝に帰るだけのことが多い生活だったから、アイツも気兼ねなく泊まりに来れたと思う。

 たまたま仕事が早く終わった父さんが泊まりに来ていたアイツと顔を合わせると、嬉しそうに俺達を見た。

「二人は本当に仲が良いな。ゆっくりしていってくれよ」


 昔と変わらずバカな話で何時間も盛り上がった。どちらかともなく眠気を感じ始めた夜明け、カーテン越しに白んだ外の景色を感じつつ俺はアイツに尋ねた。

「最近忙しい?」

「ああ、うん、まあね。部活もあるし」

「そっか。頑張れよ」

 アイツは中学でバスケ部に入った。背が低いのがコンプレックスだから少しでも背を伸ばすためにやったことのないバスケに挑戦したいと言っていた。

「ありがと。今度他校と練習試合があるんだ。応援来てよ」

「行く行く!」

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