オフィスの野獣と巻き込まれOL
追跡
帰ろうか帰るまいか。どうしようか考えていた。

ぐずぐずしてたら、背中を押されフロアから追い出された。


「じゃあな。さっさと帰れ」

帰れなんて言われても。せっかくのチャンス。素直に言う事なんか、聞くものですか。

私は、フロアを出たと見せかけて、エレベーターホールが見える位置に立って、キモを待ち伏せした。

観葉植物の陰に隠れて、彼がやってくるのをじっと待った。

いくら、仕事を抱えてるといっても、必ず家には帰るだろう。

幸い、長丁場になると思ってたから、すでにコンビニでおにぎりを調達済みだ。

経理部の人がいなくなるまで、居残るつもりだったから食料を買い込んだのだ。

飲み物は、後で買うことにしていた。私は、自販機コーナーでお茶のペットボトルを買うと、定位置に着いた。

これで、いつキモが出て来ても大丈夫だ。


さて、その後、どうするのか。
キモのあとを付けて、どうするのだ?
真っすぐ家に帰ったら?

キモの家なんか知ったって、どうするんだ。


コピーした伝票には、どんな意味があるのかさっぱりわからないし。

他に、なにか思い付くわけではないから、やっぱり、キモの後をついて行ってやろう。


張り込みしてる刑事みたいに、コンビニで買っておいたおにぎりを頬張る。

キモがすぐにオフィスを出て行ってもいいように、腹ごしらえは早めにしておこう。
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