オフィスの野獣と巻き込まれOL
コピーを取り終える頃になって、キモがコピー機のところまでやって来た。

「コピーを取ってどうするつもりだ?」

「それは、まだ、どうするか考えてない」

念のために一枚ずつコピーを取る。

コピーを取ってどうするのか。

考えつくのは、山科君に泣きつくだけなんだけど。

「考えないで、こんなことしてるのか?」コピーを終えて、伝票を返した。

堀川課長は、バカじゃないのかって目で私を見てる。

「ええ、悪い?」確かにバカだけど。

バカだって、結論にたどり着くってこともあるのよ。

何も、卑屈な態度を取る理由はないのよ。

私は、胸を張って毅然とする。


「それならいい。取りあえず、そのメモを書いたやつのことには触れないでおく」

「それならいいって、なによ」

しまった。

筆跡から山科君の事がばれてしまう。

どうしよう。怒るだろうな。

そういう事には、打たれ弱いからな。


「いいか、軽はずみなことはするな。

どうしていいのか分からなくなったら、俺のとこに来い。いいな?」

「誰が、あんたなんかに、助けを求めるもんですか」

「そっか。もう、遅いから気を付けて帰れよ」

キモはじゃあなと言って、笑って送り出した。

なんだ。

意外とあっさり協力してくれたなあ。
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