強引上司にさらわれました
答えはひとつ

いよいよやってきた週末。
私たち人材開発課のメンバーは、朝早くから会社説明会の準備に追われていた。

前日までに会議室に準備していたプロジェクターやスクリーンをセッティングし、テーブルを講義形式に何列にも設置した。

今のところの予約では、店員の三百名にほぼぴったり。
大会議室がいっぱいになる。
予約段階では、予想以上に盛況だった。

午前の講義では、トイ戦略室の室長と、ホビー事業部の五年目の社員が登壇することになっている。
内容的には、普通の会社説明会同様に、会社の成り立ちや今後の展望、先輩社員からは学生が親近感を持ちやすいように苦労話などを盛り込んでもらうことをお願いした。

受付開始時間の午前八時半を迎えると、会議室前に作った受付には、瞬く間に学生の長い列が出来上がった。
そこで学校名と名前を確認し、今日の研修の詳細を記載した書類を手渡す。

そうして受付時間が終わると、会議室内はものすごい熱気に包まれた。
予約した学生のほぼ全員がここに集まっていたのだから、それも無理はない。
結果的に、予約してきた学生の約九割が集まった。


「ご案内したように、本日の会社説明会は午後に演習という形で竹とんぼ作りを行ないますが、あくまでも演習であって今後の選考には一切関係のないものです。どうかみなさん、楽しみつつ、当社がどういう会社か体感していただければと思います」

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