直人の口から真実を告げられ、私は改めて彼の思いを知った。それを知ったうえで結婚してもいいと思ったのに、直人が納得しなかったので、私たちはまだ、結婚していない。

 結婚するなら、と私が出した「あなたのことを好きになりたい」という条件は、いつの間にか「私に好きになってもらいたい」という直人のものに変わっていた。

 だからと言って、我々の関係がなにか大きく変わったのかといえば、そういうわけでもない。ただ、直人はいっときに比べると、早く帰ってきてくれるようになった。

 そして当たり前のようにリビングで一緒に過ごして、ソファに並んで映画を観る。隣に座る直人との距離は以前よりも少し縮まった気がする。

「珍しいね、直人が映画を選んでくるなんて」

 デッキにDVDをセットしようとする直人に声をかけた。

「晶子に任せたら、泣かされるものばかり選ぶからな」

「そんなつもりは、ないんだけど」

 昨日、一緒に見た男性二人が主役のヒューマンストーリーは相等、堪えたようだ。終盤、直人はほとんど俯いたままだったし。

 それでも、直人は部屋を出て行こうとはせず、最後まで一緒に観てくれた。映画の続きが気になっただけかもしれないけど。そんな直人がついつい可愛くて頭を撫でると、少しだけむっとしながらも受け入れてくれた。

 はじめて会ったときには、一緒に住むとなったときには、考えられないような過ごし方だけど、でも嫌じゃない。もっと一緒にいたくなる。

 直人はどう思っているんだろう。ほんの少しだけでもいいから、もしも同じ気持ちでいてくれるなら嬉しい。