リナリア
私は無言のまま。

でも…今さらなのよ、琉架。

今さらなの…。

きっと、困った顔で私は琉架を見ている気がする。

今はみんな庭にでているから、(たぶん気を使ってくれたんだと思う)誰もいなくて、二人きりの空間で。

『琉架…。私はもう、琉架を好きじゃないわ。疲れたの。それに、私は李斗が言うように、うまく伝えられない事が多くて…琉架も似てるから、きっとうまくいかないわ。』

「じゃあ、もう一回好きになって。オレも頑張って気持ち伝えられるように、頑張るから…オレを見捨てないで。」

泣きそうな琉架の顔。

「リナリアに想いなんて込めないから。自分自身で伝えるから。」

『リナリア…。』

あの花には意味があるって言ってた。

花言葉は詳しくないから、全くわからない。

引こうとしない琉架に、今だけは『考えさせて…。』そう言うしかなかった。
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