溺愛されてもわからない!
赤い髪の男の子

午後からの授業。
そういえば前の列の普通の人達は、真剣に授業を聞いていた。
後ろ3列は午後のお昼寝。
ポカポカお日さま射していて
たしかに眠くなるなぁ。

隣を見ると雫さんも目を閉じていた。
綺麗な人って目を閉じても綺麗だなぁ。
ぼーっと見てたら
パチリと雫さんの目が開く。

わっビックリした。

「なぁに?」
色気のあるアルトの声。
本当に同じ歳なのか
私から見ると
人間離れしている美しさ。

「ううん。綺麗だなぁって思っただけ」
素直に答えたら雫さんはプッと笑い

「ありがとう、すみれちゃん」って
ポケットからアメを出して私にくれた。

あぁ今日はいい日だ。

「すみれちゃんが気に入っちゃった。うちらのグループに入らない?歓迎会してあげる」

その一言が教室に小さく響き
どよめきが起きて
みんなに注目される私。

「しずくーそれダメ。田舎のタヌキは邪魔だしー」

「はんたーい」

授業もそっちのけでブーイングの嵐。

雫さんは周りを完璧無視して、私に甘く微笑んだ。

やっぱり一夜に似てる。

田中さんがプチ情報として車の中で教えてくれた。
ヤツは4月生まれで私より数ヶ月年上だから
弟じゃなくて兄になるらしい。

急にあのエロい男を思い出し
ファーストキスを奪われた事も思い出す。

泣けるわ忘れよう。
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