純情シンデレラ
第一章 出会いの春
別れの後にやってくる、出会いと始まりの月、それが四月―――。

今日は私の社会人第一日目。
満員電車の中で揺られながら、私の胸は、緊張と不安と、それ以上の期待で、ドキドキしていた。

濃紺のスーツと、白いブラウスを着て、3センチヒールの黒いパンプスを履き、パンプスと同じ黒い皮のショルダーバッグを右肩に引っかけている私は、はたから見ると、とても頼りなく思えるだろう。
例えて言うなら、小学生になったばかりの1年生の小さな子たちが、ランドセルを背負っているというより、ランドセルに背負われてるような感じかな。
私は小学生じゃないけれど、背は高い方じゃないから・・・。

電車のスピードが、少しずつゆっくりになって、停まった。
「○○駅~」というアナウンスが、微かに聞こえる。
開かれた扉に向かって、降りていく人たちを見ながら、あぁよかったと思ったのも束の間。
降りた人たちよりも、乗客の方が圧倒的に多かったので、これで少しはラクに立てると思った私の儚い希望は、あっけなく消え去った。
しかも、乗ってきた人たちと、私のように元々車内にいた人たちにグイグイ押されてしまって、つり革までも逃してしまった。

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