黒猫の香音(後編)
外の雨音が激しさを増し、景色が朧になる。



今『黒猫』がどんな事態になっているのか周りの人々は知らない_











派手な男達を前に香音は怯む事など更々無く、只々怒りを露にする。




「『今更』ここに来るなんて…


どうせ"仲間の敵討ちする程の情なんて無い"癖に。」




その中の頭らしき人物があっさり答えた。




「わざわざ三下の為なんざに動く程、わしらも暇じゃないんや。


要は"金が動く"か"動かん"か。

只それだけや。」




「それだけの為に航聖は撃たれたって言うの?


所詮消化する金『だけ』の為に…



…て言うかなんで『ここ』だと分かった訳?」





「簡単な話や、"下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる"ってな。


誰かに訊けばいずれはそこに辿り着く、聞いたモンで丁度そこに出くわしとった奴等は皆、以前刃物を持った男が暴れとったら『たった一人の女』が止めたてゆうてたわ。



姉ちゃん…どこの組の輩や?」




あちらの方が背が高い所為か、見下して見える男に対し、香音は更に睨み返す。





_そして着物の裾から二つの『塊』を取り出すと無言でそれの引き金を引いた。
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