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帯剣を許され、四日が経過した日の朝のこと。

ぼんやりとした意識の中に、街の教会が鳴らす一時課の鐘の音が聞こえたと思ったら、ベッドサイドに「おはようございます」とジャコブの声がした。

まだ眠い目をこすりながら身を起こし、あくびをする。

毛布から出した左手には、大公殿下から賜った美しい剣が、しっかりと握られていた。

それを見てジャコブは呆れた顔をする。


「屋敷内は安全です。寝るときくらいは剣を離して下さい」

「警戒してるわけじゃないよ。嬉しいから肌身離さず持ってたいの」

「そのお気持ちは、充分に伝わってきますが、ハッキリ申し上げますと変です」


ジャコブは注意ばっかりの口煩い男だが、それは私を思って言ってくれるのだと、最近になって分かってきた。

ボゾネ一味に危うく捕まりそうになった一件では、私が城を抜け出したことにジャコブがいち早く気づいてくれたからこそ、こうして無事でいられる。

今は私に付いてくれる従者が彼でよかったと思っていた。


ベッドメイキングをしてくれているジャコブに「いつもありがとう」とお礼を言うと、彼は手を止めて振り向く。

その黒い瞳には、なぜか驚きが。