冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
じゃじゃ馬姫の暴走
「リリアーヌ、お前にはユノヘス王国に嫁いでもらう」


一面フカフカの絨毯が敷き詰められ、調度品もピカピカに磨き上げられている大きな部屋で、父であるサノワ国国王からそう言われ、私は目を見開いた。


ひげを蓄え、大きなお腹。
茶色の瞳に茶褐色の髪を持つ国王の姿をこんなに至近距離で見たのは初めてだった。

いや、もしかしたら遠い昔にあるのかもしれないけれど、記憶にはない。
それは、一緒に暮らしたことがないからだ。

それ故、父と言われてもまったくピンとこず、どちらかというと母の血を受け継ぎ、青い瞳を持つ私にとっては、見た目からも親子だとはわからず、“自分の国の一番偉い人”という認識くらいしかない。

唯一似ているのは、ブラウンの髪の色くらいだもの。


そんな父に、こうして王宮に呼び出されるだけでも驚きだったのに、とんでもないことを言いだされてしまった。


「ですが私は……」

「お前が適任だ。このままでは我が国は亡びる。どうしてもユノヘスの力が必要なんだ」
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