冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
サノワは、小さいながらも潤った水源と豊かな森に支えられ、長く平和に暮らしてきた。

ところが、その自然に目をつけた近隣諸国――特に北側に面していて、岩山ばかりのイヤールド国――から領土を狙われ、戦を交えること数回。

もともとのんびりした気質の国民は、自分たちの領土を守るため奮起したものの、兵としての教育はまともに受けておらず、戦いに出るたびに惨敗を期していた。


領土の一部を失いながら、なんとか国としての機能は果たしていたものの、そろそろ限界。
いよいよ国を明け渡す日が近づいてきたのを肌で感じていた国王は、密かに東のユノヘス国へ護衛を打診していた。

それは、隣だっているユノヘスは、決してサノワに攻め込んでは来なかったからだ。


ユノヘスは近隣では一番の大国であり、ユノヘスもまたサノワと同じように豊かな自然を有している。
そのため、水源も農地も余るほどあり、サノワに攻め込み領土を大きくする必要がないのだ。
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