イケメン御曹司のとろける愛情
第四章 濃密Starry Night
「こんなところまで連れてきて、いったいどういうつもりなんですかっ!?」

 相変わらず腕を放してくれないので、私は彼を睨みつけた。

 イケメンだとなにをしても許されるなんてのは、小説や漫画の中だけの話だ。

「ドレスなら自分でクリーニングに出します! それより今はロイヤル・クローバー・クラブが」

 私の言葉を無視して、エレベーター王子はエレベーターの下ボタンを押した。私は彼の手から逃れようと右腕をねじったが、彼の方が力が強い。自由を奪われたままなのが腹立たしくて、左手で彼の腕に爪を立てようとしたら、左手首を逆の手でつかまれた。

「ピアニストだろ。指を痛めたらどうするんだ」

 昼間見た笑顔など一欠片もない厳しい表情だ。でも、この人にそんなことを言われたくはない。

「あなたがこんな強引なことをするからでしょっ」

 私は反抗的に見上げ、彼が呆れた顔になって口を開く。

「キミはあんな男の話を信じたのか?」
「え?」
「“ごくたまにある”って、いかにも嘘っぽいじゃないか。おまけに下心見え見えの顔に仕草。あの男が本当にロイヤル・クローバー・クラブのオーナーなのか怪しいぞ。キミはおかしいとは思わなかったのか?」
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