課長の瞳で凍死します ~伊勢編~
 古い駅だが、風情があるな。
 街並みも、と真湖が宇治山田駅を振り返っていると、雅喜が、

「しかし、初めて見たな。
 霊ってものを」
と言う。

「いいえ。
 それはきっと、霊じゃありません。

 口には出せないけど、課長と手をつなぎたいという私の怨念です」
と言ってみたのだが、

「……今、出してるじゃないか」

 そう言われてしまった。






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