愛しの残念眼鏡王子
河川敷に響く私の声。


感情が赴くまま言った後、すぐに後悔の波に襲われていく。


気づいたら専務は今にも泣き出してしまいそうな顔で、私を見つめていたから。


違うのに。専務を責めたいわけじゃない。泣かせるつもりもない。


ただ分かってほしかった。

専務は自分が思っている以上に、魅力的な人なんだって。


伝えたい想いほど、どうして相手に伝えることが難しいのかな。

どうやったら私の想いは、専務に届いてくれるのだろうか。


辛くて悲しくて、いつの間にか涙が頬を伝っていった。


そんな私に専務はただ「ごめん」と謝るばかりだった。


謝って欲しくない。

その言葉さえ、もう出てきてくれなかった。
< 75 / 111 >

この作品をシェア

pagetop