幼馴染と溺愛!?疑似結婚生活!
一、再会はまるで嵐のように。


どうして保育士になったのかと聞かれたら、簡単に答えられる。
どうしてシスコン気味の兄が嫌いになれないかと言われても簡単に答えられる。
大変だけどやりがいがあるし子どもが好きだから、口うるさいし過保護だけど優しいから。

でも、あいつがどうして怖いかと尋ねられたら答えるのは難しい。

短大に入学してから疎遠になって、親や兄の話から医大で獣医を目指していると聞いていたけれど、地元に戻って就職してもあいつと再会することはなくなっていた。微妙に避けてはいた。

その期間10年。

再会するのは、あまりにも突然過ぎた。

20歳で保育課を卒業して、地元の保育園に就職して早8年。
ここ山の丘保育園は私の出身園で、園長先生は私の担任をして下さっていた人。
そんな縁もあり、仕事はきついけれど人間関係に苦労することなく働けて恵まれた環境で生活していた。

「市井さん、冠宮産婦人科からお電話です」
再会のきっかけはある電話からだった。
ちょうど保護者のお迎えのピークが過ぎた18時過ぎ。
その日の日誌を纏めながら残っていた子ども達の簡易おやつの時間でゆったりしていた時だった。

「冠宮産婦人科って瞳さんの通院してる病院だ」
 海外赴任中の兄夫婦だったけれど、今週頭に義姉の瞳さんが妊娠したので甥っこの葵(あおい)くんと先に帰ってきてご実家から通ってるって聞いてた。
 私も土日に挨拶に行こうかなって思っていたところだったけど?

「はい。お電話変わりました。市井です」
呑気に電話を代わって衝撃を受けた。

「切迫流産?」

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