お隣さんと、半同棲?!

ことの発端は

6時に起床、いつも通りの通学路を通り、授業を受けて生徒会の仕事をし、5時半に帰宅。


何一つ不自由のない暮らしを、この15年間続けてきた。


父は倹約家でただのサラリーマンながら、コツコツと貯めてきた貯金残高は計り知れない。


また、もともと保育士だった母親は、今は主婦業に勤しんでいる。


一人っ子のわたしは幼い頃から、両親のまっすぐな愛を注がれながら成長してきた。


そんな平凡で、でも充実した日々が変わったのは、わたしが高校2年生に上がった頃のこと。


「……紀衣。ちょっとこっちに来て。大事な話があるの」


暗い表情をしている母親からは、相当な緊張感が受け取れる。


「や、やだなぁ。お母さん、どうしたの?そんなに改まって」


別に悪いことをしたわけでもないのに、のどの奥が詰まって言葉が出てこない。


「実はね………」


ーゴクリ


生唾を飲み込む音が脳を揺らす。
< 2 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop