断罪アリス

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その日の午後。




俺はなず姉と待ち合わせをして、母さんのお見舞いに来ていた。





重傷を負った母さんは切碕一派が退散した後、藤邦が経営する皆実総合病院に搬送された。





一時は意識不明に陥った母さんだけどどうにか持ち直し、今は個室の一般病棟に入院している。




「何でアンタも来てるんだ、藤邦アリス!アンタは呼んだ覚えはない!」





なず姉は病棟のエントランスで俺の隣にいるアリスさんを指差した。




エントランスはガラス張りの吹き抜けになっているからなず姉の声はよく通る。





おかげで回りの来院患者や客、入院患者の目がじろりと向けられていた。





「なっちゃーん、人を指で差さないよー。あと、此処は病院。シーっだよ」





アリスさんは指を口に当てて、子供に静かにするように嗜めるような言い方をした。




なず姉は慌てて口を閉ざし、向けられている目に頭を下げた。




が、何か腑に落ちなかったようになず姉はアリスさんを見た。
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