副社長と愛され同居はじめます
改めて視線を巡らせた。


信じられない広さの寝室に、キングサイズのベッド。
間違いなくこの寝室だけで私のアパートより広い。


今はカーテンで閉じられているけれど、壁一面のように大きな窓からは綺麗な夜景が見渡せた。


こんな、夢のような空間で、昨夜私は成瀬さんに押し倒された。


経緯はどうあれ、目的はどうあれ。
私は婚約者になるかという成瀬さんの申し出を受けたのだ、当然避けられないものとぎゅっと強く目を閉じて。


覚悟を決めた。


だけど、成瀬さんは一頻りキスを堪能した後、じっと私を見下したかと思えば。



「……眠い」



と言って、そのまま私を抱き枕にして眠ってしまったのだった。


拍子抜け、と言えばその通り。
だけどほっとしたというのが正直なところだ。


さっきから胸元が規則的に温かくなるのは、そこに顔を埋めた成瀬さんの寝息のせいだ。


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