甘いあまいイチゴの香り
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あの夏の暑い日、中学3年生の冬馬くんは受験勉強に毎日忙しそうで、中々遊んでもらえなくなっていた。

それでも少しでも冬馬くんの姿が見たかった私は、冬馬くんたちが学校から帰ってくるのを自分の部屋の窓から眺めながら待っていた。


毎日、冬馬くんは菫ちゃんと帰ってくる。

弓道部に入っている菫ちゃんと、生徒会に入っている冬馬くんはいつも帰りが遅くなるからと菫ちゃんの部活が終わるのを待って二人で帰ってきていた。


私にとって、二人は美男美女で。
小学生と違って中学生の二人はとても大人に見えた。


中学校でも付き合っているという噂になっていると、冬馬くんのおばさんがうちのママに話しているのを聞いてしまったときはショックで、おじさんが作ってくれた大好きなクッキーが食べられなくなるほどだった。




「あっ、帰ってきた!!!」

曲がり角から二人が歩いてくるのが見えて、私は階段を駆け降りた。

玄関のドアを開けようとした時、大好きな冬馬くんの声が聞こえてきて、そのいつもと違う声色に不思議に思ってそっと静かにドアを開けた。



後から考えるとどうして開けてしまったんだろう。

聞いたらいけないと思ったはずなのにと、

後悔するばかりだった。



少しだけ開いたらドアから聞こえてくる菫ちゃんのすすり泣く声に少しだけ視線を上げると、二人の影が一つになっているのが見えて一気に視線を上げた。



ッッッッッ!!!!!!


「菫、大丈夫だから。――――だって、いつもちゃんとお前を見てる。ずっと好きだったんだから。な?」
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