君の本気に触れた時…
近づく距離
「先輩、ここ少し教えてもらってもいいですか?」


斜め向かいのデスクに座る彼が、私のデスクまで来るとそう尋ねてきた。


「あぁ、それね。その数字はパソコンの共有フォルダ内にあるここをクリックして………その中の………
ここの数字を記入してくれたらいいよ。」


目の前にある自分のパソコンを操作しながら彼に教えた。


「なるほど…。ありがとうございました。」


爽やかにお礼を言って、これまた爽やかな笑顔を向けると席に戻っていた彼。


「なにあの笑顔っ。隣で見てるこっちまで胸がキュンキュンしちゃうんだけど 〜」


隣に座る聡子が、私にコッソリ耳打ちしながらも身悶えてる姿にアハハ…と苦笑いだけを返した。

確かに…今となっては弟みたいしか思ってないけど、かく言う私も…むかしむかしの大昔は彼に一瞬とはいえトキめいたりなんかもしたわけだから。

聡子の気持ちも全く分からない訳ではなかった。


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