冷徹副社長と甘やかし同棲生活

■初めての外食


 日が落ちてから、私たちは二階にあるイタリアンレストランに向かった。
 メイクをしようとしたけれど、椿さんに「家の中を歩くだけだからそのままでいいだろう」と言われ、その通りにした。

 店内に入ると、ベストを着て、ギャルソンエプロンをつけた店員の方に案内された。白い壁と赤タイルの床が印象的な、落ち着いた雰囲気の店内に、本格的な店員たち。

 四名掛けのテーブルは十組ほどあり、半数以上が埋まっている。
 やっぱりちゃんとメイクをすればよかったと、来た後で後悔した。


「いらっしゃいませ、今日はお連れ様とご一緒なのですね」

「ああ、たまにはな」

「こちら、メニューと本日のおすすめでございます」

 店員は、椿さんと私にそれぞれ食事のメニューとドリンクメニューを手渡した。



 
< 144 / 321 >

この作品をシェア

pagetop