冷徹部長の愛情表現は甘すぎなんです!
「もうさ、この酔った状態で由佐さんのところ行ってきなよ。そうしたら普段より素直になれて気持ちだってすらーっと言えるんじゃない?」

「いやいや、酔った勢いで告白なんてダメだって。ただでさえ、はじまりもお酒の酔いがあっていろいろ……だったわけだし」

「そっかぁ、そうだよねぇ」

あんなに暗い気持ちになっていたのに、夏穂子の明るい声と笑顔に元気が湧いてきて、彼女の存在に感謝したくなる。
酔いで頬を熱くさせながら、ぼうっと夏穂子を見つめた。

「ありがとね、話聞いてくれて。夏穂子が友達でよかったよぉ……」

「ちょっと、恥ずかしい! 紘奈酔い過ぎだよ」

そういえば、ずっともやもやしていて睡眠時間少なかったんだよね。だから酔いが回るのが早いのかもしれない。
体のだるさが、妙に気持ちがいい。

ひたすら夏穂子と楽しくお喋りをしていて、途中、夜あまり眠れなかった話をしながら目を閉じそうになったが、夏穂子に「寝ないでよ!」と肩をゆすられたりして、なんとか眠気はさめた。

そして夜の九時半になり、会話が一段落して夏穂子がお手洗いへと立ったのだが、なかなか戻ってこなかった。ようやく戻ってきたとき、彼女はなにか企んでいるような笑みを浮かべていて、とてもあやしく感じる。

お酒も良い感じに効いて気分よくなっているわたしに、夏穂子はとんでもないことを口にした。
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