最後の恋
思わず自分から懇願するように言ってしまったその言葉に、彼は一瞬驚いたように目を見開いたけど、直ぐに着ていたシャツを脱ぎ捨てると貪るような彼のキスが重なった。


「……んんっ…」


彼の手がキスの間も止まることなく、私の敏感なところを探り当てるように撫で回す。


頭も体も彼から与えられるキスと愛撫でわずかに残っていた理性はすぐにどこかに吹き飛ばされてしまった。


高校時代あんなに好きだった、だけど誰にも言えなかった片思いの相手の一ノ瀬君と今こうしていられるなんて。


ただその事実だけで、もう何もかもどうでもいいと思ってしまうくらい今の彼に落ちていた。


視線は熱く絡み合ったまま、彼との距離が近づくと彼の手が私の頬を包み込むように優しく触れた。
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