「先生、私、本気で先生が好きだよ? 初めて抱かれた日も、そのまえも、それ以降も」
「優香……」
「オッサンなんか、好きじゃない。でも、先生は特別なの」

 涙がこみ上げる。
 まさか結婚した日に、私との関係を『魔が差しただけ』と告げられるなんて。

 ポロポロと涙がこぼれる。
 我慢して押さえこんでいた感情が、ぶわっと溢れだした。

「先生……ごめんね。私、本当は知ってたの。先生、忘れられない人がいるんだよね」
「…………」
「大学のころの彼女。その人が結婚してからも、ときどき会ってたんでしょ?」
「……優香?」

「知ってたよ。私、ずっと前から知ってたの。先生が、まだその人のことを想ってるって。
 でも、それでもよかった。今は身代りでも、いつか私のことだけを見てくれるはずだって信じていたから」

 沈黙がもどかしい。
 私は頑張って笑顔をつくった。

「ごめんね、先生」
「……なんで謝る?」
「私と結婚したせいで、その人とは結ばれなくなっちゃった。
 彼女、離婚調停中なんだってね。離婚が成立したら先生と再出発しようと思っていたのに、こんな小娘に横から奪われるなんて、トンビに油揚げってまさにこのことだよね」

「…………」

「ごめんね。本当は別れたいのに、赤ちゃんできちゃったから、別れられなくなったんだよね」

「……ちょっと待て」

「まだ今なら間に合うけど……でも私、先生との赤ちゃん、絶対に産みたいから」

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