金木犀の季節に
第四楽章



ーーー第四楽章ーーー


翌朝、私は寝坊した。
家を出る二十分前に起きて、朝ごはんも食べずに家を飛び出した。
「寒い」
学校指定のセーターは昨日の雨で濡れてしまったので、ブレザーの下にはベストを着ているが、ものすごく寒い。

早歩きをして、駅に着いたのは、電車発車の三分前。
急いで階段をかけ登る。
スーツを着たサラリーマンや、制服姿の学生たちの隙間を通り抜けて改札をくぐり、ホームに降りた。
ちょうど東京方面、小田原方面ともに電車が来たところで、ものすごく混んでいる。

優希葉たちが乗っている八両目へ向かおうとしたとき、私は目を見張った。
通勤通学ラッシュの人混みの中に、いるはずのない君を見つけたから。



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