泥酔ドクター拾いました。
結局、週末彼女にマドレーヌを渡すことも、会うことさえも出来ずに月曜日を迎えてしまった。


今日から、新生活。

このマンションから車で10分程の距離にある新都総合病院に整形外科医として勤務することになっている。

出勤初日の朝、車で信号待ちをしていたら、目の前の横断歩道を自転車で疾走する201号室の彼女が目の前を通っていく。


いつものようにまっすぐに伸びた背筋。
今日は、髪の毛をポニーテールにしてシャツに7分丈のパンツといった格好に、高いヒールを履いて立ち漕ぎしている。


俺のことなんて、全く気付いた素振りもなく。

それなのに、俺は横断歩道を渡り切り、路地を曲がってあっという間に見えなくなった彼女の背中をぼんやりと眺めた。

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