オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
「…きろ」
…ん。
声が、聞こえる。
「お…ろ…って。起きろ」
基樹?
「起きろ」って? あんたが私を起こすなんて雪でも降ってくるんじゃない?
にしてもずいぶん声が低くなったわね。
寝起きに聞くにはすごくいい声。好き。
…でもなんか、イラっともするのよね。だって、似てるんだもの…あいつに…。
「起きろ、って。ほら。みーやこ」
がばっ!! と飛び起きて、叫びそうになるのをすんででこらえた。
向居だ。
あの向居柊介がいる!
「おはよ」
「…はよう…」
寝起きには心臓に悪いこのイケメンは、まさしく向居だ。
なんでここに!? …ってそうだ、昨日から一緒に旅行しているんだった…。
という鈍い思考を使いものにならない半覚醒の脳で行い、最後に行きついた事実に、今更ながらぎょっとする。
私…向居と一緒の部屋で寝たんだった…。