オプションは偽装交際！～大キライ同期とラブ・トラベル！？～

「そろそろ出た方がいいか？」


向居が腕時計を見て言った。向居はとうにコーヒーを飲み干し、私もあと一口だ。
私は首を横に振って微笑んだ。


「ありがと。でももういいわ。人力車めぐり、やめる」


向居は目を丸くした。


「予定が狂っていいのか？　せっかく立てたプランだろ？」

「いいわ。当日キャンセルは効くし。本当は時間も押してたの」

「そうなのか。悪かったな、急に連れ出して」

「いいのよ。朝のお寺も寺町もすごく素敵だったし。こんなおいしいコーヒーも飲めたし。だから、朝食もゆっくり食べたくなったし、準備ものんびりしたくなったの。予定はその時に考えればいいし」


よほど意外な言葉だったのか…向居は数瞬押し黙り、返した。


「へぇ、逢坂にしては意外だな」

「向居の手法、真似してみたの。その場その場を楽しんで、気ままに、ってやつ」


悪戯っぽく笑って見せた私に、向居は楽しげに微笑み返した。


「いいね、じゃあこれ以降は俺と逢坂で仲良くコラボ企画ってやつになるのか？」


私は不敵な笑みで返す。