冷血部長のとろ甘な愛情
塞ぐため
ゴールデンウィークを終えたあとの月曜日。

休み明けはだるくてやる気が出ない。それが、長期休みのあとだと余計に。

でも、それは私だけではない。周りを見るとみんなだるそうにしている。

唯一意気揚々として見える人物はただ一人。

ここ文房具メーカー『コロアール株式会社』商品部企画課の佐藤課長だけが休み前より丸くなったように見える頬をツヤツヤさせている。

食べ歩きが趣味だと言っていたから、たくさん美味しいものを食べて、エネルギーを蓄えたのかもしれない。


「はい、みんな注目して。いいですかー?」


言われなくてもみんな課長ではなくて、その隣に立つ人物に注目している。

課長よりも頭ひとつ分ほど背が高く、日本人離れした彫りの深いキリッとした顔立ちのその人物に特に女性社員が目を奪われていた。

私の知る限り、うちの会社でトップ3には入るイケメンだ。うちの部においては1位なると思われる。


「えー、紹介します。本日付けでわが商品部の部長となりました平沢部長です。部長、一言挨拶をお願いします」

「平沢晴生(ひらさわはるき)です。よろしくお願いします」

「それだけですか?」
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