三次元に、恋をした。
オタクですけど、何か?

「あー、恋がしたい。」


少し強めの冷房が効いている広告会社のロビーには様々な人が行き交っている。

その人たちに笑顔を振りまきながらも、手元ではパソコンをカタカタ鳴らしながら作業する。

向こうからは見えないからと、ここ何年でそんな技術を修得した。

お局になれば、お手の物だ。

そんな私の隣では、その技術を仕事ではなくプライベートに活かす若者もいる。

「先輩 どうしたら彼氏ってできるんですかね?」

見えないからって、仕事中に携帯を眺めては溜息をこぼしている。
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