41才の中学2年生

何だこりゃ?小さくなってるぞ!

いつものように駅に向かい、改札を抜けてホームで電車が来るのを待つ。

そしていつも満員の電車に乗って、痴漢に見間違われないよう、両手でつり革に掴み、鞄は上の棚に置いておく。

こんな事をかれこれ20年近くやっている…

見慣れた風景、いつもの様子。
マンネリ化してるのは当たり前。

だが、何故か今日はいつもと雰囲気が違う…

何故だろう?さっきまで家で妻と娘と一緒に朝食を摂って、妻の運転する車で駅まで着いたのはいいのだが…
はて、何かおかしい。

何て言うか、いつもの風景なのだが、ちょっと変だ。

【お前はもういっぺん中2からやり直すのじゃ…】

「えっ?」

ふと周りを見渡した。
誰か今、オレに話しかけてこなかったか?

(何だ今の声は?)

疲れているのだろうな、そう思って改札をくぐり、ホームで電車が来るのを待っていた。

…あれ?いつもホームで電車を待ってる人達が何て言うか、大きくなっているような…

いや違う、いつもの風景だが、目線が少し違うぞ?

…オレこんなに低い目線だったか?


【ウワッハッハッハッハッハ!お前の身体は成長期の頃に戻っているのじゃ!】

「誰?」

またさっきと同じ声がする…

誰だ一体?オレはまた周囲を見回した。

「あれ?」

ホームで前に立っている乗客、確かこの人、オレより背が低かったはずなのにオレより背が高くなってる!

いや、この人だけじゃない、横にいる人も、後ろにいる人もオレより背が高い!

えっ、何で何で?

【だから言ってるだろ、お前の身体は中2に戻っていると】

「さっきから誰なんだよ!」

『何さっきからブツブツ言ってるんだろ、あの子…』

『ちょっとおかしいんじゃないか』

『何だあのガキ、さっきから独り言ばっか言って』

え?何だって?

オレはふと自分の足元に目をやった。

「へ?何じゃこりゃ?」

ブカブカの革靴にダブダブのスーツ…

「オレ、小さくなってる!」

何で何で?ねぇ、どうして?


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