【BL】お荷物くんの奮闘記
act.6
 ノアの圧倒的な火力に助けられ、道中の魔物はほぼ瞬殺。魔物との遭遇はないものとして移動時間が短縮され、あっという間に東国付近まで到達してしまった。


 徒歩で二日かかる距離を、一日で三分の二ほど進んだ。一晩野宿して、明日の正午には東国まで到着することだろう。


 道すがらノアの魔力槍についてそれとなく聞いていたが、槍自体は彼のオリジナル形状らしい。元々は大賢者によって開発された魔法で、前衛を担えない後衛のための術というよりは前衛一人しか居ない状況でも物理攻撃無効の相手にダメージを与えるために作られたのだそうだ。


 詳細を訊いてきた自分に対し、ノアは勝手に術を改造したことを咎められたのだと勘違いしかけて一騒動になった。どこまでもどん底へ落ち込みそうだった彼に、むしろどんどん改造して戦闘に役立ててくれとうっかり口にしてしまう。途端元気になったノアによって、昼間から今まで無双状態だったというわけだ。


 魔力槍の構成はなんとなく、リュータが一度使ったきり忘れきっているであろうMP消費で武器生成する勇者特有スキルと近い気がする。というより、元々このスキルを研究して作ったものに違いない。前衛一人しか居ない状況でも、物理攻撃無効の相手にダメージを与えるために作られた。

師匠のやりそうなことである。きっとこの術は、リュータのために作られたのだろう。……自分が居なくなってしまっても、勇者が戦えるように。
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