【BL】お荷物くんの奮闘記
 どう考えても相思相愛だ。身内二人をこう表現すると少々微妙な気分になるが、お互いにお互いが自分のことをどう思っているのか、分からないまま終わってしまっている。

それが無関係の自分にももどかしく感じて、それと同時に心の片隅、ほんの少しだけ安堵している。


 あのめんどくさい師匠はともかくとして、リュータの恋が叶わないことを喜ぶなんて本当に最近の自分はどうかしている、とは思う。リュータのことばかり言ってはいられない。


 魔力槍について、多分おまえも使えるようになる、とリュータに耳打ちしてやった。魔法はあんまり得意じゃないと以前話していたはずの彼は、しかし今回は嬉しそうにはにかんで礼を述べてきた。

自分は単純にパーティ戦力の底上げ目的で術の研究に入るつもりだが、彼にとってはそれ以上の意味があるに違いない。課題は山積みだ。


 日が落ちて野営の準備をすると、火の番を誰がするか――というより、自分を火の番から外してフルで休ませるか否か――で意見が割れた。

ノアが大賢者様に火の番をさせるなど言語道断と宣言、リュータは休ませることに賛成、ヴェルターは興味がないらしく、多数決の結果自分は休むことになってしまった。

いや意見割れてないな。自分だけだ反対したの。


 ともあれ、今晩は他三名が交代で番をするようだ。目下一番役に立っていない自分が長めに番を請け負うべきだと思うが、それを説いたところで賛同してくれるのはヴェルターくらいのものだろう。

無表情で面白がって、周囲と一緒に反対してくるかもしれないが。諦めて火の側に横になる。
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