Black sweet Darling!《完》
読めない男
翌日。

あたしの気分とは裏腹にすっきり快晴の空を見上げてため息。

昨日の事夢だったらいいのに。


今日は早番で早朝から出勤。
ヨージさんが休みなのである意味責任者はあたしになる。

だからこんなモヤモヤした気持ちじゃダメなんだけど。


店内の掃除を済ませ、少し早いけど入口のブラインドをあげようとバーに手をかけたところで、扉の向こうに人影がある事に気付く。

ガラス張りのこのお店は営業時間以外はブラインドを下げている。

いつもは開店前にお客様が来る事なんてないのにな…と思いながら急いでブラインドを引き上げ、鍵を開けて扉を開いたところで固まる。


「いらっしゃいま…!」

「昨日はどうも?」


なんでもっと早く顔を確認しなかったんだ、と自分を責める。

まぁ確認した所で締め出す事も出来ないのだけど。

扉の向こうにいたのは、昨日の男。
A'zカンパニーの社長だ。

今日は昨日とは違いスーツを着ているけど、やっぱりチャラい印章は変わらない。

あー、朝から何なの…やっぱ文句言いに?


「先日は失礼いたしました。今日は何の御用で?」


言葉では謝りつつも、自分が間違ってたとは思わないので愛想良く出来ない。

接客業としても、女としても、多分良くない所なんだろうな。
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