【短編】空っぽのプール
空っぽのプール



「あ〜だるいな〜せっかくの夏休みなのに」



シャツをパタパタとさせながら額に汗をかく新屋(しんや)が職員室から出てすぐそう言った。


先生に聞こえるよ、って思ったけど彼はわざと聞かせてやるつもりで言ったと思う。



そういうやつだ。



基本教室ではうるさくて、思ったことをすぐに口にする。


女子の中で新屋を嫌いな子も何人かいるし。


デリカシーのないやつだって。



「俺たちこれでも受験生だぞ?なんでプール掃除なんか…後輩にさせればいいものを」



「俺たちって…」


「ん?」


思わず漏らしてしまった私の声に、新屋がチラッとこちらをみた。



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