愛しのエマ【完】
いきなりのハグ


空が高く
秋の気配を感じた頃

新しい副社長がやって来た。

広い社内をご挨拶で渡り歩き
我が総務課にもやって来た。

「カッコいい」
「イケメン」
「予想よりいい」

あちこちで聞こえる女子社員の声。
うーん
どれどれ。

常務を先頭に現れたのは
背の高いチャコールグレーのスーツを着た男性。
確かにイケメン。
会長の若い頃ってこんな感じだったのかしら。

髪は耳元と首周りはスッキリ短く爽やかで
前髪は少し長いけど、くせっ毛なのか毛先の流れがあって重くない。
鼻筋がスッとしていて
目は大きく
口元は口角が上がっていて
遠くから見ても顔のバランスがよくて
きっと肌も綺麗だろう。

爽やかで
人懐っこい愛されキャライケメン……かな。
これは
秘書課と受付女子達が騒ぐわけだ。

なるほど。
接点はないけど目の保養になるね。

全員で立ち上がり
女子は優しい笑顔で歓迎アピール。

常務のご紹介が始まり
私達でも知ってるアメリカの有名大学卒業と博士号取得にみんなざわめく。
顔だけじゃなくて頭もいいんだ。すごいなぁ。

「青木 玲央(あおき れお)副社長です。では、副社長からご挨拶を」

「藤田常務からご紹介受けました、青木 玲央です。海外暮らしが長く、久しぶりの日本で……」

急に副社長のスピーチが止まった。
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