『来年の今日、同じ時間に、この場所で』
第1章

出逢い

新しい教室に新しい香り…

見慣れない顔触れに
緊張とワクワクが混じり合った感情が
私の胸を踊らせる。

窓の外は、綺麗な淡いピンク色の
桜の花びらが舞っていた。


きっとみんなも
私と同じように
ドキドキワクワクしながら
この教室への一歩を
踏み出しているんだろうな…。

少し早く着席してしまった私は
教卓側の入口から入るクラスメイトの人間観察を始めていた。

友達を探して
手を振りながら明るく入室する子


既に友達を見つけて
肩を組みながら入室する子


誰にも目もくれず
淡々と自分の席を探す子


でも1番気になるのは
私の席の隣の子


『ふ』から始まる私の苗字は
ドア側の列の1番前の席



隣の子の苗字は何かな?
いったいどんな子だろう…
仲良くなれるといいな
話しやすい子だといいな
もっと贅沢言えば
イケメンだったらいいな…


もうすぐ、この学校で初めてのHRの時間だ。
クラスメイトになる子達の席は
ほとんど、うまってきているのにも関わらず
一向に現れない私の隣の席の子。


もうすぐチャイムなっちゃうのにな…





心地いい風が吹く。
その風にのって
甘くて優しくて、とても良い香りがした。



その香りと共に現れたのは

窓から入る陽射しに
ちょうどあたってキラキラ輝く栗色の髪

吸い込まれてしまうような茶色い瞳


外国人かと思わせるような
シュッとした鼻や顎


その横顔に思わず見とれてしまった。




なんて綺麗な顔立ちなんだろう…
思わず目で追ってしまうくらいだった。
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