『来年の今日、同じ時間に、この場所で』
ん?あれ?



‼︎‼︎‼︎隣の席じゃん‼︎‼︎‼︎


あんまりにもキラキラしていて
私は目が離せなくなっていたから
隣の席にドカッと座って来たことに
ビックリしていた。


あれだけ見惚れてたのに
間隣ともなると
恥ずかしくて顔を見れなくなった。



ずっと見てたのバレてないよね?



恥ずかしすぎて
下を向くことしか出来なくなって
机の木目の渦を
意味もなく数えていた。


なんであんなに見ちゃったんだろう…

見とれてたのバレてたらどうしよう…
入学早々
こんなことであだ名とか付けられたら
たまったもんじゃない
私の中学3年間が
パーになってしまう‼︎


どうか何も気付かれていませんように…。



そうだ!ココは明るく!

(隣の席だね、
私は富士屋 真凛て言うのよろしくね)

とか
言っちゃってみる?



そしたら

(よろしく、俺は前田 勉)


とか
なるかな?





ん?前田 つとむ?

コレなんて読むんだろう…




” べん ”


てことはないよな…





……⁈




初対面なのになんで名前を知ってるのかな…



ふと我にかえる。





自分の席に
名札が貼ってあるのが目にとまった。


名札があるのに
あえて口に出して自己紹介するのもな…


小学校の入学時は
いったいどうやって友達を作ったか…


隣の子と
どうやって話せるようになったか…


既に忘れている自分がいたことに気付く。


でもここは意を決して頑張るんだ!
私の中学3年間がかかってるんだからね。




「あ…あの…」


言いかけたと同時に

「おはよう!」と
教室に響きわたる大きな挨拶をしながら
おそらく担任と思われる先生が
教室へと入ってきたおかげで
私の声は
いとも簡単にかき消されてしまった。


それもなんだか恥ずかしくて
また私の目線は机の木目へと戻った。




私達の担任の先生になった
大きな声の嶋田先生は自己紹介を始めた。

そして
誰もが想像してた通り

その後は出席番号1番から
自己紹介が始まった。



こういう時
だいたい誰もが思うよね

『あ』が付く苗字じゃなくて
良かったってこと。

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