ONLY YOU~愛さずにはいられない~(完)
《1》動き出す時間
***

「芸能界を引退して、ずいぶん経つが…康秋のファンとは…まぁ―・・・座りたまえ」

「いいんですか?伊集院元総理」

「構わないよ…四人掛けのテーブルだし。なぁー…康秋」

「敦司さんがそう言うなら…構いませんけど…」
彼は語尾を濁したけど、反対はしなかった。
私達は元総理に促され、恐る恐るテーブルに近づいた。

二人は並ぶように座り直し、私達は目の前に椅子に腰を下ろした。

「君たちは『花菱金属工業』の社員か…」
元総理が私達の首に提げていた社員証を見て呟いた。

「名前は野原ひとみさんに間宮…」

「璃愛(リア)と読みます」


「璃愛さんか…可愛いらしい名前だな…」

「敦司さん…」

「アイドル時代は良く笑っていたのに…今はクールだな。康秋」

「アイドル時代のコトは言わないで下さい…俺の黒歴史なんですから…」




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