私の実家がある町は完全なベッドタウンであり、閑静でとても住みやすい。横浜駅まで電車で二十分ほどというのも、通勤がラクで助かっている。

最寄りの駅前にはスーパーが豊富で、必要なものはだいたいそこで揃えられるため、買い物にも困らない。

そんな洋光台駅のロータリーに、運命の土曜日を迎えた私は、これまでにないほど緊張しながら立っている。


先日、社長とショートメールでやり取りした際、自宅の最寄り駅を聞かれ、そこで待っているようにと言われた。

しかも、なぜか【ホテルで会ったときのような服装で来てください】という指定つき。

もしかして、彼はフェミニンできちんと感がある服装が好みなのか?なんて思ったけれど、本当のところどういう意図があるのかはわからない。

でも、おかげで着るものに迷うことはなかった。

冷やかされるのを覚悟で紫乃姉さんにアドバイスを受けるつもりだったけれど、その必要もなくなったからありがたい。

言われた通りお見合いのときとほぼ同じ格好をして、髪の毛は下ろし、眼鏡をかけたスタイルで挑むことにした。眼鏡を買うならコンタクトはつけていないほうがいいから。

五月中旬の今日は薄曇りでそれほど暑くなく、薄手のジャケットを着ていてちょうどいいくらいの気温。

それなのに、約束の午後三時が迫ってくるにつれ、体温も心拍数も上昇していく。