君を愛していいのは俺だけ
「どこにも行ってほしくないの」
続けて呟いた彼女の声を聞き逃すはずもなく、鼓動が跳ねるのも気にせずにギュッと抱きしめる。
「ずっと仁香といるよ」
「……明日、行くんでしょ?」
見合いは、当日面会して断ると説明したのを信じてくれているようだ。
心が痛むけど、一生忘れないプロポーズをさせてほしいから……。
「仕事だからね、これも」
「……陽太くんが私だけ見てくれてるなら、それでいいけど」
語尾を濁した彼女は、本音では嫌なんだろうな。
もし、俺が仁香の立場だったら、力づくでも止めると思う。