イジワル騎士団長の傲慢な求愛
観衆を痺れさすほどの、長い長い口づけのあと。

ふたりはお互いを見つめ、この選択に間違いがないことを、言葉ではなく瞳で確かめ合う。

「誓ってくれ。一生俺のそばにいると」

「……誓うわ。頼まれたって、もう離れない」

「神に誓おう。この身が朽ち果てるまで、お前だけを愛し続けると」

シナリオにはない、二度目の口づけ。
今度は熱く、濃厚に。
ふたりの本能に従って、深く、激しく、求め合う心のままに交わされる。

神父様の呆れるような顔が、セシルとルーファスの視界の端にちらつくけれど、かまわない。

今この時はふたりだけのもの。
まるで神の祝福を受けるかのように、射し込む陽光に照らし出されて、祭壇へと長く伸びた影はいつまでもひとつに重なっていた。




【FIN】
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