過保護なドクターととろ甘同居
俊くんのふざけた態度に、先生のレンズ越しの目が鋭くなったのを感じ取った。
ごもっともな質問をされ、俊くんは怯んだように黙り込む。
私も気まずさが押し寄せてきて、先生のチェック柄のネクタイに視線を落ち着かせていた。
「親の身勝手で妊娠し出産すれば、生まれてくる子どもが一番辛い思いをする。それを忘れないように」
私も俊くんも、先生の言葉に小さく返事をするしかできなかった。
「はい、もういいですよ」と言った先生は、私たちからパソコンモニターへと顔を向ける。
再びキーボードをカタカタと叩きながら、「待合室でお待ちください」と目も向けずに言った。
『親の身勝手で妊娠し出産すれば、生まれてくる子どもが一番辛い思いをする』
真面目で厳しいその言葉は、ズンと心のど真ん中にいつまでも居座り続けた。