過保護なドクターととろ甘同居


次のお給料が出たら、何とか安い部屋なら借りることができると思われる。

今の部屋を解約したら、家賃を払っている分の日までは住んでいることはできるのだろうか?

もし給料日まで住むことができなければ、少しの間はネットカフェとかで過ごさなければいけないかもしれない。

考えれば考えるほど頭が痛い。


「ハァ……」


ため息をつくと幸せが逃げるなんて言うけど、それが本当なら私の幸せは大分無くなっている。

二十七になる歳にして、フリーター生活。

歳下の彼氏とは破局して、永久就職なんてものも夢のまた夢。

その上、下手したらホームレス予備軍だ。

自分の悲惨な状況に泣けてくる。


着替えを済ませ、従業員専用出口からお店を後にする。

外はキンと冷えた冬の空気に包まれていた。

一月も下旬に入る冬真っ只中。

アウターを着込んでストールをぐるぐるに巻いても寒さはしのぎきれない。

コートのポケットを両手を突っ込み、帰りの道を急ぐ。

裏口から店先の歩道に出たところで、見知った顔に「あっ」と声を漏らして立ち止まってしまった。

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