過保護なドクターととろ甘同居
「あ……お出掛け、ですか?」
出てきた先生は、ブラックのスリーピーススーツに、同色のストライプネクタイを締めた格好をしている。
日曜日の今日もビシッと決まっていてかっこいい。
「ああ、ちょっと人と会う約束がある」
「そうですか……あの、遅くなりますか? もしお仕事がなければ、夕飯作ろうと思うので、良かったら先生も」
勢いに任せてお誘いしてみると、先生は微笑み頷いてくれる。
後ろ手でドアを締めながら、「作ってくれるのか?」と聞いてきた。
「あ、はい。今から、買い物に行ってこようと思ってます。何か、食べたいものはありますか?」
リクエストを求めると、先生は通りすがりに私の頭に手の平を載せてくる。
そして、「任せるよ」と言い、階段へと向かっていった。
先生が降りて行った階段に振り返り、触れられた頭に手を載せる。
「ふぅ」と小さく息を吐き出していた。
こういう些細なことでも、無駄に鼓動が高鳴ってしまう。
意識しすぎな自分が自分で恥ずかしくなり、無視するように早足でキッチンへと入った。