過保護なドクターととろ甘同居
「あっ、あの、私、買い物に行ってきますね」
その場にいることが居たたまれなくなり、掛けていたパイプ椅子を立ち上がる。
これでは、聞きようによっては、滝瀬さんと何でもなくて良かったですって、告白しているようなものだ。
うっかりそんな爆弾発言をした自分を、馬鹿馬鹿!と内側でポカポカと殴りつける。
先生に背を向けたところで、「今日、夕飯を作ると言ってたな?」と声を掛けられ振り向いた。
「悪いが、それは延期にしてほしい」
「え……延期、ですか」
「たまには、外に食べに行かないか? ここに来てから、まだどこにも連れていってないからな」
先生は優しい笑みを浮かべて私の顔を真っ直ぐ見つめている。
その視線に鼓動が高鳴っていくのを感じながら、「わかりました」と答えていた。