昼下がりの情事(よしなしごと)


和哉は指輪のことなんて、まったくわかっていなかった。

「男子あるある」の典型で、婚約指輪と結婚指輪の違いさえ知らなかった。

なので、親友の妻・香里に丸投げ……じゃなくて「アドバイス」してもらうことにした。

なにせ、香里の左手薬指には度肝を抜かれるほどギラギラ光った指輪が君臨している。

目は確かであろう。

……だけど、外国であんなのしてたら、手首ごと持ってかれるなー。

そこまでは無理としても、愛する美咲のためなら、奮発するつもりだ。

神社での挙式はリーズナブルだし、友達を集めて行うウェディングパーティはレストランで会費制ですることになったから、余裕はある。

ちなみにパーティを取り仕切るのも、それぞれの「親友」である新田夫妻だ。佳祐はめんどくさそうだったが、香里の気合いの入れようは半端ない。

……そのパーティで美咲は生まれて「初めて」のウェディングドレスを着るのだ〜♪

この件では美咲より、和哉の方が浮かれていた。

そんなわけで、適材適所、適地適作(?)ということで、結婚に関することは香里にリサーチしてもらっていてLINE待ちの状態だった。

肝心の美咲は「かおりんセンスいいから楽しみー、でも、忙しいと思うから、いつでもいいよー」などと悠長なことを言っていたが。

和哉が「おれも結婚指輪するようになったら、女の子が寄って来なくなるなー」と言えば。

突然、美咲が「かおりんのLINEまだかなー」と言い始めて、指輪に関しては自分でもタブレットでいろいろ調べるようになった。

……いい傾向と対策だ。

和哉はほくそ笑んだ。

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